顕微新書 

書きたいことなんてないけど習慣だから毎日書いてます

精0.7杯くらいがんばる

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いっぱいいっぱい、という言葉があってな。


 

 「会社の即戦力になれるように、精一杯がんばります!」

 このような意思表明を、これから社会人になる新入社員は口にするのだろうか。

 

 新入社員に限らない。部署異動にともなう自己紹介でも、同じようなセリフを聞くことができる。その中で気になるワードが「精一杯」だ。

 

 会社としては、社員に精一杯がんばってもらうことは望ましい状況である。精一杯がんばることは悪いことじゃない。でも、精一杯がんばることだけが「個人にとって」望ましいのか。精一杯がんばることの副作用があるのではないか。そう考えると、あまり精一杯がんばらないほうがいいのでは、とも思える。

 

 「精一杯がんばる」とは「もうこれ以上出し切れないほどにがんばる」という意味である。わかりやすく言えば「全力を出す」である。

 

 人間が全力を出すとどうなるだろうか。無論、力が残っていないので、動けなくなる。身体だけでなく、脳も動かないから、考える余裕もなくなる。考える余裕とは「他のことに目を向けるための力」である。この力、つまり余裕がない状態で「楽になりたい」と思った人間は、ときにどういう判断を下すのか。それが恐らく「死ぬ」である。余裕がなくても手っ取り早く楽になれる、と考えるからだ。

 

 精一杯がんばると、その全力を注いでいる対象にしか目がいかない。別に、それが悪いことだとは思わない。でも、生活するためのお金を稼ぐために、嫌々やっている仕事に対して精一杯がんばったところで、待っているのは自殺か過労死である。でも、会社は精一杯を求めてくる。おかしな話である。というか狂っている。積極的にサボるほうが、よほど健全な姿勢といえる。