顕微新書 

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夢の吊り橋

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吊り橋の写真はない。

 「夢の吊り橋」とは、静岡県の山奥「寸又峡(すまたきょう)」にある観光スポットである。この連休中、その吊り橋にいってきた。

 

 静岡駅前に宿をとり、そこから車で約二時間、曲がりくねった道がくねくねくねくねと、くどいくらい続く峠の奥。そこに、秘境「寸又峡」は存在する。

 

 有料駐車場に車をとめ、お食事処や懐かしみのあるお土産屋さん、それとは対照的でお洒落な足湯カフェなどが連なる道を超えると、夢の吊り橋へ繋がるハイキングコースの入り口がある。そこから緩いアップダウンやトンネルを歩き、トンネルを抜けてすぐ、右手奥下方に夢の吊り橋が見えてくる。

 

 もう少し進むと、左に平坦、右に下りの分岐にあたる。をの右側を進んだところに、夢の吊り橋の入り口がある。山に沿った道を降りると、そこには既に、これから橋を渡ろうかという人々が列をなしていた。

 

 目の前にもう吊り橋は見えている。長さ九十メートル、高さ八メートル。橋を渡る人々は、吊り橋のワイヤーロープを両手に掴みながら、恐る恐る、ゆっくりと足を進めていく。小さな子供が無邪気に、吊り橋の上でジャンプして橋を揺らしては、橋の上の人たちから小さな悲鳴が聞こえる。絶対に落ちることはない、と解っていても、揺れるとやはり怖いのだろう。

 

 列に並んでから三十分、ようやく僕たちの番がやってきた。ワイヤーロープを掴みながら、一歩目を踏み出す。下に見える大井川が大きく広がっているせいか、それほどの高さや恐怖は感じない。前へ進むにつれて感じる、不思議な浮遊感を抱きながらの九十メートルという道のりは、まさに夢のようにあっけなかった。