顕微新書 

書きたいことなんてないけど習慣だから毎日書いてます

本音の獲り方、教わってません

 

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動物の子供だって親から狩りを学びますよ?

 本音を言うと怒られる。僕が子供の頃は、なぜかそういう時代だった。今はどうかしらない。今の親が、どういう教育を施しているのかわからない。でも、「正直に生きなさい」と教えていても、「本音で生きなさい」とは教えていないだろう。今の時代でも、なんでもかんでも本音をさらけ出せば、風当たりが強くなるは明らかだ。

 

 別に、すべて本音で話さなければいけない、というわけではない。本音を隠すことは、普通なことだ。言いたくないことは言わなくていい。その権利がある。

 

 ただ「隠し事=悪」みたいな風潮があるから、言いたくない本音のかわりに、嘘をついてしまうこともある。大人が求めている答え(=嘘)をこしらえておけば、本音を隠しても怒られない(ばれない)し、逆に褒められることだってある。

 

 そういう、極めて合理的な理由で、たいていの子は「おりこう」に育つ。また、大人になってもその合理性は根強く残っている。上司や先輩の言うことに従っていれば、好かれる人間になれる、安泰に過ごせる、ということを知っている。

 

 そんなことをしているうちに、「自分の本音」が何なのか、わからなくなってしまう。というよりも、大人の期待する「偽りの本音」が、本当の本音だと勘違いしてしまう。大人から、嘘をつく芸を、知らず知らずに仕込まれているのだ。

 

 おかしな話だが、「偽りの本音」を持ち続けると、「真実の本音」を見つけることが難しくなる。しかし、本音の影というのは、常に見えているのだ。ちょうど、水面に浮かぶ魚影のように、うっすらと見えている。意識しないと見えない。その本音を捕えることは、魚を手摑みするくらい難しい。

 

 「嘘をつく芸」ではなく「漁の仕方」を教えるのが、親の役目ではないだろうか。